日本の戦後社会のカラクリ

祥伝社から刊行されている『侵略の世界史 ~この500年、白人は世界で何をしてきたか~』という書籍を購入したので、週1回程度の頻度で内容の一部をテキスト化し、何回かに分けて重要と思われる部分を紹介していきたいと思う。
日本の戦後社会のカラクリ
侵略の世界史 ~この500年、白人は世界で何をしてきたか~
アメリカの三つの原罪
日本に対しては米の太平洋覇権の完成のため日本を侵略者として、戦争に出るように挑発し、原爆で一時に三十万を殺戮し、百十三の都市を焼夷弾で焼け野原にし、数百万の被災者を生んだ。その惨状はマンハッタンの悲劇どころではない。二百年余りで世界の王者、超大国にのし上がるために、米国はどれほど国際法違反の残虐行為を連続的に働いたか計りしれない。これらの歴史の事実について米は一度も反省したことがない。オサマ・ビンラディンは今回のテロ後、テレビで次の声明を出している。
「米国が地の果てにある日本で数十万人を原爆で殺した時も犯罪とはならなかった。米国相手にヒロシマの仇を敢行するのだ」と。
米国人の三つの心の傷(トラウマ)、すなわちインディアン五百万人の抹殺、黒人奴隷何百万を世界で一番長く酷使し、日本に原爆を投下した。この三つの原罪の反省がなければならない。現在、米国資本主義の弱肉強食、自然淘汰の弱者切捨てで1人勝ちの体制は人類の敵ではないか。
今回のテロへの米の報復はそのプロパガンダとして「限りなき正義」からさらに「不朽の自由」Operation Enduring Freedom の行為と位置づけて、聖戦のつもりになっているが、これは余りにも身勝手ではないか。アメリカ人の自由は非米人の不自由の犠牲から生まれてきたことを忘れてはいないか。(P23~P24)
勝者の論理を押しつけられた歴史認識
戦後日本社会を一言で表現すれば「敵を忘れ、敵を失った社会」、つまり故意に敵を失わされ、忘れさせられた社会ということになる。ここに、不甲斐ない戦後社会の元凶があるのだ。世界の戦争の歴史は独仏間のように勝ったり負けたりの復讐戦の連続であった。そこで日米戦に勝った米国は、日本が再び立ち上がって米国に復讐出来ないように、日本民族の愛国憂国の魂を抜き去り、その穴埋めに、戦犯意識を刷り込み、さらに敵を味方にスリカエる巧妙な占領政策を七年間も続けた。三年半の戦闘で武装解除させ、その二倍の時間をかけて精神の武装解除を強制したのである。
マッカーサーは占領政策で、厳重な言論統制下、日本人に大東亜戦争の真因を分析批判することを禁止した。少し研究すれば、たちまち米国の侵略性、加害性の謀略が明らかになるからである。彼は先手をとってこの戦争の呼称を「大東亜戦争」から「太平洋戦争」へとスリカエることを命じ、日本が太平洋を越えて米国を侵略した戦争というイメージを植えつけた。続いてGHQのスミス企画課長が勝者の立場で独断で捏造した「太平洋戦史」を開戦の十二月八日を選んで強制的に全国新聞に一斉に連載させ(昭和二十年)、NHKに命じて「真相はこうだ」と放送させた。こうして何もかも日本が悪いという史観を国民に植え付けるのに成功した。続く東京裁判はその筋書き通りに進められ、日本の暴虐性、米国の正当性を決定づけるよう演出された。
さらにマッカーサー元帥は自身を、封建社会、軍国主義から日本を救うためにやってきた救世主であるかのように振る舞い、日本人にとって敵ではなく、民主主義をもたらしてくれた味方、恩人だと思うように仕向けた。これぞ、マッカーサーのマインドコントロールの妙である。
戦後の日本の社会ではテキという存在をなくされ、意識しなくされてしまった。テキという言葉はタブーとして、使うことがはばかれるように長い間飼い慣らされてしまった。テキのない社会は討ち勝つという目標や対象がないから、敵愾心喪失の無気力な国になるのは必然である。老子は『敵なき国は滅びる』との名言を残している。
さらに米国は、日本にとって明らかな侵略者である外敵であるのに、これを忘れさせただけでなく、日本の真の敵は東條英機ら軍閥や戦前のリーダー達であり、日本の歴史、文化、伝統などもすべて同罪であると洗脳した。悪いのは米国でなく日本の指導者や日本の精神や制度だとスリカエたのである。それに対して日本国民も本当に洗脳されて、敗戦の怨みをもっぱら戦犯やバージの同胞に向けるようになってしまった。ここにおいて日本人は敵を取り違え、敵を失ってしまった。戦後の不幸の出発点が、ここにある。国家は悪に滅びず、愚に滅ぶと言われる。日本は一刻も早くこの愚かな戦後社会のカラクリに目覚めなければ国危うしである。(P39~P41)
(コメント)
戦後60年以上が経過し、マスゴミ主導の暗黒の時代から、こういった本をインターネットの片隅でささやかながら紹介出来るようになったことは誠に喜ばしい。田母神氏の著作『我が身を顧みず』は、昨年の12月に発売されてから快調に売れ続け、今年の3月12日までに9刷が印刷される予定のようだ。初版が2万部と仮定し、1刷につき5千部と考えても、半年も経たずにハードカバーで6万部以上を売り上げたことになる。少しづつではあるが、地下で新たな時代のマグマが脈動しつつあるのかもしれない。
『侵略の世界史』は田母神氏の本のようには売れてはいないが、内容的には非常に優れており、引用したテキストを読んでみても、まさしくその通り、と思いたくなるような内容ばかりである。なぜ日本人が敗戦ではなく終戦という言葉を多用し、広島の原爆記念館の館長にアメリカ人が収まっているのか、その答えが今回引用した文の中に明確に含まれているのではないだろうか。GHQが施した洗脳の巧みさには舌を巻くしかないが、今もその呪縛が日本社会に深く根付いており、日本社会に様々な歪みと退廃を引き起こしているのは、まぎれもない事実である。
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